S&P500や全世界株などのインデックス投資をして海外資産を持つ場合、為替の影響は必ず受けます。
株価の上げ下げに加えて、為替の変動によりその振れ幅(リスク)は大きくなります。
そこで、この記事では、円高・円安の基本、為替が投資に与える影響を紹介します。
それを踏まえて、投資の始め時と終わり時、為替ヘッジはした方が良いかについて紹介します。

「こんなはずではなかった」ということにならないように、ここで為替の基本を抑えていきましょう!
円高・円安とは?
下図は2013年9月から2023年8月までの10年間の米ドル/円の為替相場のチャート表になります。


2013年8月は1ドル98円だったのが、2023年の8月は1ドル140円になりました
2013年8月は98円で1ドルと交換できていました。
10年後の2023年の8月では140円出さないと1ドルと交換できない状態です。
これは、10年の間に円の価値が下がったので円安といいます。
10年前、100円で1ドルと交換できていたとします。
今、90円で1ドルと交換できるようになったとします。
これは、10年の間に円の価値が上がったので円高といいます。
商品やサービスの輸出、外国株や外国債券の購入、政府による介入などの要因でドル円の交換レートは動きます。

株の動きは予想できませんが、為替の動きも事前に分かりません
為替が投資に与える影響
例えば、S&P500など米国株に投資する際は、日本円を米ドルに換えます。
そのため、米国株を買うと米ドル建ての資産を持つことになります。
よって、円高・円安といった為替の影響を受けることになります。
全世界株に投資する場合も、日本円を外貨に換えるため、同じく為替の影響を受けることになります。
購入後円安になった時

今、100円で1ドルと交換して持つことにしました。
10年後、1ドル120円になり、円安になりました。
この時、持っている1ドルを120円と交換しました。
すると、差額の20円分得したことになります。
円安は、為替による利益を生む要因となります。
そのため、米国株が上がっている時に円安になった場合、より多くの利益を生むことになります。
米国株が下がっている時に円安になった場合、その損失を小さくする効果があります。
購入後円高になった時

今、100円で1ドルと交換して持つことにしました。
10年後、1ドル80円になり、円安になりました。
この時、持っている1ドルを80円と交換しました。
すると、差額の20円分損したことになります。
円高は、為替による損失を生む要因となります。
そのため、米国株が上がっている時に円高になった場合、その利益を小さくすることになります。
米国株が下がっている時に円高になった場合、その損失をより大きくする効果があります。
投資の始め時と終わり時は?
株の価格と為替の組み合わせを考えると、円高株安の時に投資を始めて、円安株高の時に投資を終わらせることができれば、1番お得ということになります。

しかし、「株価や為替は読めないという前提」があります
そのため、インデックス投資の始め時と終わるとき(資産を取り崩すとき)は以下のようになります。
❌円高株安の時を待つ
👍生活防衛資金が貯まって余剰資金ができた「今」
❌円安株高の時を待つ
👍自分がそのお金を必要とした時

インデックス投資は15~20年以上の長期投資で3~7%のリターンを期待できる
そのため、終わる時も15~20年以上後である想定ではあります
株価の変動を受け入れられない場合、そもそも株式投資をしない方が良いといえます。
為替ヘッジはした方が良い?
一方、為替リスクをとりたくない場合は、お金を払って回避することができます。
それが為替ヘッジで、利用するためには為替ヘッジコストを支払います。
「MSCIコクサイ・インデックス」は、日本を除く先進国22カ国(大・中型株約1,300銘柄)の株価動向を示す代表的な指数です。
下図は、この指数の為替ヘッジ無と有のパフォーマンスの違いです(期間は、1990年6月末から2020年6月末までの30年間)。
為替ヘッジ無インデックスは青色の線、為替ヘッジ有インデックスはオレンジ色の線です。

1990年6月末を100とした時、為替ヘッジ有りでは30年後に約250と約2.5倍に増加しています。
一方、為替ヘッジ無しでは30年後に約700と7倍に増加しています。
30年間でその差は450ポイントに拡大しています。
30年間のリターンを分解したのが下図です。

引用元:国内外の株式投資は何から始めればよいか-外国株式インデックスファンドの基礎知識 |ニッセイ基礎研究所 (nli-research.co.jp)
為替ヘッジがない左側で、為替要因の損失はマイナス29%でした。
一方、為替ヘッジがある右側では、為替ヘッジコストの損失がマイナス144%でした。
右側の為替ヘッジコストの方が左側の為替そのものによる損失よりも大きいことが分かります。

為替の影響を排除するために、これだけのコストを払う価値があるか、ということ
為替ヘッジは、ヘッジによるメリットよりもコストが大きくなることがあります。
為替ヘッジのコストがリターンを大きく毀損するため、長期で見ると為替リスクはそのまま受け入れた方が良いと考えられます。
1990年6月末から2020年6月末までの30年間の為替ヘッジがない場合のリスクを分解したものが下図になります。

引用元:国内外の株式投資は何から始めればよいか-外国株式インデックスファンドの基礎知識 |ニッセイ基礎研究所 (nli-research.co.jp)
リスクの内、株式要因が65%、為替要因は35%であり、この分だけ為替はリスク(振れ幅)を高める要因となります。
為替のリスクを受け入れると、株価変動は大きくなりますが、長期でのリターンは報われやすいということになります。

自分のリスク許容度を超えなければ、為替リスクは受け入れた方が長期的には良さそうです
まとめ
この記事では、円高・円安の基本、為替が投資に与える影響を紹介しました。
それを踏まえて、投資の始め時と終わり時、為替ヘッジはした方が良いかについて紹介しました。
ドルなどの外貨に対して、円の価値が下がることを円安、円の価値が高くなることを円高といいます。
10年前:1ドル100円 → 今:1ドル120円(円安)
10年前:1ドル100円 → 今:1ドル80円(円高)
購入後円安になった時:円安は、為替による利益を生む要因となります。
購入後円高になった時:円高は、為替による損失を生む要因となります。
インデックス投資の始め時:円高株安の時を待つのではなく、生活防衛資金が貯まって余剰資金ができた「今」
インデックス投資を終わる時(取り崩すとき):円安株高の時を待つのではなく、自分がそのお金を必要とした時
為替ヘッジは、ヘッジによるメリットよりもコストが大きくなることがある。
為替のリスクを受け入れると、株価変動は大きくなるが、長期でのリターンは報われやすい。

個人により投資戦略は異なるものです
ただ、「為替ヘッジにコストがかかることを知らなかった」など、勘違いをして後悔をしないように常に学ぶことが大事ですね
最後まで読んでくださり、有難うございました!
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